杉本寺を出て、滑川ぞいの遊歩道を上流に向かいます。渓流には緋鯉や真鯉が身をくねらせ、岩場ではセキレイが2羽、なかよく遊びたわむれています。10分ほど歩くと、華の橋。なんと粋な名前じゃありませんか。その粋な小橋を渡って100メートルもいけば、「功臣山」の扁額のかかった報国寺の山門。
清楚な参道をしばらくいくと、本堂へつづく石段が。と、そこで、ふと右側に目がとまります。お地蔵さんかと思って通り過ぎそうになったのですが、手にしておられる錫杖(しゃくじょう)のあたまの部分の輪っかの中に、小さな十字が刻まれているではありませんか。どう見てもクルスです。地蔵さまの顔をつくづく眺めますというと、それは、まぎれもなくマリアさまにちがいありません。ひょっとして、いつのときにか隠れキリシタンのかたがたがひそかに、ここでお祈りしていたものでしょうか。