三宅孝太郎「股ぐら覗き論」が
掲載された雑誌『
思想の科学』
休刊の記事のご紹介。
(朝日新聞1996年・平成8年3月26日付)


『思想の科学』は、この年、1996年の3月27日発売の5月号で休刊になりました。
 三宅孝太郎の「股ぐら覗き論」は、この『思想の科学』誌上に掲載されたわけですが、今回、サイト上で発表するにあたり、許可の取りようがないため、そのかわりというわけではありませんが、この、戦後を代表する思想雑誌をご紹介したいと思います。
(以下、朝日新聞の記事をアレンジ)


 敗戦の翌年(1946年)、新しい思想の確立と哲学の再生をめざして創刊された『思想の科学』。戦後50年を凝視し続けてきた、この雑誌は、21世紀の思想を探るうえで大きな遺産を残した。
 創刊同人には、丸山真男、武谷三男、都留重人、渡辺慧、鶴見俊輔、鶴見和子、武田清子という錚々たる7氏が名を連ねる。
 1946年12月、共同研究として「ひとびとの哲学」が取り上げられた。「人間が生きているところには必ず思想がある」という鶴見俊輔氏を中心とする同人の思想の原点がこの研究を生み出し、「庶民列伝」「家元制度の研究」「身上相談」などの特集として結実した。
 1962年には、発行を外部出版社への委託から自主刊行に切り替えた。
「戦後の思想家107人」を特集した1985年6月号には、美空ひばりや都はるみ、タモリなどの名前が並んでいる。
「ひとびとの哲学」が目指した「民衆−土着志向」が、この雑誌を貫いた大きな軸のひとつだった。
 公称25000部。固定読者が多く、経営的には支障はなかったが、戦後50年を区切りとした休刊により、これまで時代にどう対応してきたかを省みる、としている。若い世代のエネルギーと知恵が再び結集できれば再刊したいという。


 今のご時世、若者の文化から政治にいたるまで、「哲学」や「思想」が幅をきかす余地がほとんどないように思われます。「哲学」の復権、そして、『思想の科学』の復刊を熱く望まずにいられません。(管理人)